MUCHU DAYS
子どもとの関わり方

「なんで?」への答え方
— 好奇心を受け止めるということ

2026年7月掲載

子どもの「なんで?」は、一日に何十回と降ってきます。 忙しいとき、疲れているとき、「今は無理」とかわしてしまうこともあります。 でも、その問いへの答え方が、子どもの好奇心とどう関係するかを知ると、 少し関わり方が変わるかもしれません。

好奇心と学びの関係

米国の全国出生コホート研究(ECLS-B、6,200人)では、 幼稚園入園時の好奇心の高さが、読み・算数の学力と関連することが報告されています。 特に世帯収入が低い家庭では、その関連がより大きかったとされています。

幼稚園入園時の好奇心の高さは読み・算数の学力と関連し、 低所得家庭の子ではその関連が約2倍

Shah et al. 2018 / 米出生コホートECLS-B 6,200人(全国代表・縦断)

※これらは傾向の報告であり、因果関係を証明したり、効果を保証するものではありません。

これは相関の報告であり、「好奇心を高めれば成績が上がる」ということではありません。 ただ、好奇心が活発な子どもは、学ぶ場面で前のめりになれる可能性があります。 その好奇心を育む環境として、日常の体験と親との対話が関わっていると考えられています。

好奇心は年齢とともに変化する

OECDが10都市・15万人超を対象に行った調査(SSES)では、 子どもの好奇心・創造性は10歳から15歳にかけて低下する傾向があることが報告されています。 特に女子でその傾向が大きかったとされています。

好奇心・創造性は10歳から15歳にかけて低下する(特に女子)

OECD SSES / 10都市・15万人超(横断比較)

※これらは傾向の報告であり、因果関係を証明したり、効果を保証するものではありません。

なぜ下がるのかは研究者の間でも議論があります。 一つの仮説として、「正解を求める機会」が増えるにつれ、 「わからない」ことを口に出しにくくなる環境が影響するという見方があります。 家庭の中で「知らなくてもいい」「一緒に調べよう」が自然に言える空気は、 その文脈で意味を持ちます。

「知らない」と言える親

子どもの「なんで?」に対して、すべての答えを持っている必要はありません。 「それはね、〇〇だよ」と即座に答えることが、必ずしも良いとは限りません。

「お父さんも知らない。一緒に調べてみよう。」
この一言が、問うことを恥じない姿勢を子どもに見せます。

答えを与えるより、「どうやったら調べられるか」を一緒に考える過程に、 子どもが問いを持ち続ける場が生まれます。 図書館に行く、インターネットで一緒に検索する、実際に触って確かめる—— 答え探しの体験そのものが、学びの形になります。

「過程をほめる」という関わり方

スタンフォード大学の研究者Dweckらの実験(5年生、N=128)では、 能力をほめられた子は失敗後に粘りが低下し、 過程をほめられた子は挑戦を選び粘り強さを保つことが報告されています。

能力をほめられた子は失敗後に粘りが低下し、 過程をほめられた子は挑戦を選び粘り強さを保つ

Mueller & Dweck 1998, Journal of Personality and Social Psychology / 米・5年生 N=128(ラボ実験6本)

※これらは傾向の報告であり、因果関係を証明したり、効果を保証するものではありません。

体験の場面でも同じことが当てはまります。 「すごい、上手にできたね」より「よく最後まで観察してたね」「またやりたいって言えてよかった」 というように、取り組みの姿勢に言及する言葉がけが、 次の挑戦への構えを維持すると考えられています。

「なんで?」を記録する

体験の帰り道に子どもが口にした疑問は、その体験で何かに触れた証拠です。 MUCHU DAYSの記録メモには、その「なんで?」を短くメモしておく使い方もあります。 「カニはなんで横歩きなの?」——それが次の体験のヒントになるかもしれません。